こんにちは、カナダの高齢者ケアホームで介護士(Resident Assistant)として働いているTofu(とうふ)【@eigodekaigo】です。
筆者はカナダで介護士になるために、バンクーバーの中心地にある職業訓練公立カレッジ、Vancouver Community College (VCC)の プログラム、Health Care Assistant(以下、HCA) を受講しました。
このHCAプログラム受講の中で、私も含めクラスメイト皆が揃って緊張し苦戦していたのが、通常のテスト以上に Personal Care & Assistance の授業の中の "シナリオテスト" でした。
そこで今回は、この"シナリオテスト"とはいったいどのような内容なのか?どうすればテストに1回でパスするのか?筆者の体験を徹底解説して、少しでもカナダで介護士になりたい人のお手伝いができればと思います。最後まで是非お付き合いください!

シナリオテストのために、放課後Labに残り、繰り返し練習したのが懐かしいです!

カナダの介護(HCA)コースの "シナリオテスト" とは?
"Personal Care & Assistance" コース
筆者が Vancouver Community College (VCC)の介護プログラム Health Care Assistant のコースを受講していた時は、"Personal Care & Assistance" と言うクラスにシナリオテストが含まれていました。
このコースは、授業とLAB実習で構成されています。学生は他で学んだコースの理論を統合して、地域社会や施設の状況において介護される人の快適さ、安全性、自立性を維持し促進する介護のスキルを身に付けます。
Personal Care & Assistance で学ぶこと
引用元: https://www.vcc.ca/programs/health-care-assistant/ (2023.09.15)
- Problem-solving when carrying out care-giving procedures.
- Asepsis and prevention of infection.
- Promoting comfort and rest.
- Promoting personal hygiene.
- Moving, positioning and transferring a client.
- Bedmaking.
- Promoting exercise and activity.
- Assisting with dietary intake
- Promoting urinary and bowel elimination.
- Home management.
"シナリオテスト" とは?
Personal Care & Assistance の授業で理論とスキル学び、Lab(実習室)で練習した内容を、インストラクターの前で実際に介護する側と介護される側(レジデント)に分かれてパフォーマンスするのがシナリオテストです。
筆者の時は4つのシナリオがあり、それを4つ全部内容を理解し、テスト当日まで練習します。試験当日はランダムでシナリオが決められました。制限時間は1時間、早く終わり過ぎても、遅く過ぎてもテストにパスしません。レジデント役の学生が、テスト中にヒントをだしたり協力をするのは許されず、終始レジデント役に徹しなければなりません。シナリオによっては、移動介助などでアシスタントが必要な場合は、別の学生をアレンジするかどうかもテストの評価の対象です。メカニックリフトの利用は、基本2人でします。
テストの最終評価は、"Satisfactory" か "Unsatisfactory" で評価されていました。
Lab とは
ベッドやメカニックリフト、車椅子、介護に必要な様々なアイテムも含めて、実際の介護現場と同じような環境が整えてある部屋で、学生は実践的なスキルを身に付けていきます。
"シナリオテスト” の評価ポイント
Skills performed
HCAコースで学んだLabのマニュアル通りにパフォーマンスできたかどうかをチェックされます
Organization
担当レジデントの日常生活動作(ADL)をアセスメントし、それぞれ相応しいケアプランで実行できたかどうかと、与えられた1時間内でタイムマネージメントをきちんとできたかどうかチェックされます
Safety
介護する側のHCAとレジデントと両者の安全を考慮しながらケアできたかどうかのチェック。ベッドの高さや、車椅子などのブレーキなど、細かいところまで注意が必要です
Medical asepsis
"Clean" と "Dirty" を理解し区別し、きちんと菌などに対しての取扱い、感染予防ができていたかのチェック
Body mechanics
介護においてのレジデントの移動やケアの際に、腰痛や各種の業務上の疾病を回避するための正しい動作をおこなってケアができたかのチェック
Communication
挨拶から始まり、レジデントへのケアの説明や誘導など、相応しいコミュニケーションが取れていたかのチェック

インストラクター(試験官)は、6つのポイントをしっかり見ているので、テストは最後まで気が抜けませんでした
" シナリオテスト " のサンプル
" Mr.Smith is a 95 years old with Parkinson's disease. Following his ADL and Care Plan, Please him ready for breakfast. "
シナリオを渡されたら、自分でレジデントの情報をADLとケアプランから収集です。眼鏡は?入歯は?ヒアリングエイドは?から始まり、食事、運動能力、移動介助、言語、特別に配慮する点はあるかなど・・・・これをきちんと頭で整理し、落ち着いてパフォーマンスしなければテストにパスしないので、皆、4つのシナリオのどのシナリオがアサインされても間違わないでケア出来るように必死に練習していました。

相方になるクラスメイトによって相性が合わなかったり、どちらかが放課後忙しくて下校してしまったりして、練習が思うようにできないクラスメイトもいて気の毒でした。筆者の相方は幸い、一生懸命やる子でラッキーでした!
" シナリオテスト " 当日
インストラクターを前に、緊張はして当然です。とにかく、どんなシナリオを渡されてもパニックにならず大きく深呼吸、最後まであきらめないでください。
身だしなみもチェックされます。実際の介護さながらに、ユニフォーム(スクラブ)を着て、ネームバッジをつけて、相方のクラスメイトとLabへ入室します。テスト開始は手洗いから始まり、既定の2分しっかり洗わないと減点の対象でした。
クラスメイトの間で1番難しいとされていたシナリオに筆者は当たってしまったのですが、とにかく1時間精一杯ベストを尽くしました。緊張すると笑顔や会話が少なくなってしまうものですが、インストラクターはコミュニケーションもチェックしていますので、笑顔は絶やさず!です。
筆者がやらかしてしまったのは、テストも後少しで終わりに差し掛かったところで、清拭用のスプレーをサイドテーブルから落としてしまったのです。無我夢中でしたが、床に落ちたら " Dirty (汚い)" の概念が働き、咄嗟に新しいスプレーを用意してケアを続けました。
無事ケアも終わり、また手洗いをして、インストラクターがナースの役になり、最後に口頭レポートをしてテストが終了です。そしてそのまま、レジデント役の相方が退室してから、インストラクターとテストのふり返り査定が始まります。
筆者は、スプレーを落としてしまった時の行動を確認されました。落としたものは " Dirty (汚い)"の扱いなので拾わずに新しいきれいなスプレーを使うべきだと思ったこと、落としたものは後で拾って、きちんと消毒する必要性も説明しました。インストラクターが評価を紙に書き込んでいる間の沈黙、自分の緊張している心臓の音や時計の音だけが大きく感じました。
「Congratulations ! You passed the test.」
評価表をインストラクターが笑顔で渡してくれた時の嬉しさや、廊下で結果を気にしていてくれたクラスメイトが一緒に喜んでくれたこと、カレッジ卒業から10年以上経っても鮮明に覚えています。

後で分かったのですが、シナリオテストは落とすためのテストで、初回でパスする人は少なかったそうです。英語が苦手な自分が初回でパスできたのは、それぞれのシナリオのチェックすべきポイントを理解し、それをしっかりケアに反映させられたからだと思います。もちろん、4つのシナリオをなんどもなんども、Labだけでなく家族にレジデントになってもらい、家のベッドでも練習していました。
" シナリオテスト " にパスしやすいポイント8選!
ポイント8選
- シナリオのレジデントの情報をそれぞれ深く理解し、各カードにまとめる
- テスト当日、本番で頭が真っ白にならないように、すべきケアの要点を箇条書きにしておく
- 本番何かミスってもパニックにならず、落ち着いて最後までやり遂げる
- 相方のクラスメイトとは協力しあって、出来るかぎりLabで練習し息を合わせる
- Labに残ったり、クラスでも積極的にインストラクターに質問をし、日頃の努力もアピール
- 当日はユニフォーム、ネームタグなどの忘れ物はしない
- 自宅でメカニックリフトなどがなくエアでも、ケアプロセスを頭に描きながら練習
- 緊張しても、とにかく言葉少なくならないように、笑顔をキープ!

最後の最後で、"手洗い"を忘れてパスできなかったクラスメイトもいるので、気を抜かないようにしましょう!シナリオテストは介護の基本のスキルが網羅されているので、後に就職先でも役に立ちますので、一生懸命練習して損はないです。とにかく頑張ってください!
