こんにちは、カナダの高齢者ケアホームで介護士(Resident Assistant)として働いているTofu【@eigodekaigo】です。
これまで筆者は、たくさんの入居者の容態が悪化や急変して、その度に同僚のナースが救急車を呼ぶのを傍らで見てきました。介護の職場ではもちろん、家族のために救急車を呼ばなくてはいけない場面に境遇したら、あなたはどうしますか?あなたは冷静に対処できると思いますか?
この記事では、万が一カナダで救急車を呼ぶ事態が起きてしまった時、落ち着いて情報を救急隊員に伝えられるように、役に立つであろう情報をまとめてみました。最後までお付き合いいただければ嬉しいです。(※2023年現在の情報です。必ず、ご自身でも大切な情報は更新するようにお願いします)
緊急で救急を呼ぶ事態は、誰でもパニックになりますよね。私も職場では冷静に努められますが、身内となると気持ちを落ち着けるのが大変です。この記事を保存して頂いて、いざという時に、少しでも役に立ててくれれば幸いです!
救急車を呼ぶ前に
救急の助けを呼ぶ前に、まず深呼吸、落ち着いてください。カナダの救急車の数は限られています。本当に必要な人が最優先で利用できるように、先ず救急車を呼ぶべきかどうか、容態を再確認してください。もちろん、判断に迷うことがありますよね。その時は、ためらわずに呼びましょう!
【8-1-1】医療関係者に相談したい場合
カナダには、医療相談受付ホットライン、" 8-1-1 "があります。医療サービス ナビゲーターに相談でき、医療情報やサービスの検索をサポートしてもらいます。 このホットラインサービスは、あなたやあなたの家族の健康上の懸念を管理するために必要な情報を入手するのに役立ちます。
About 8-1-1
8-1-1 is a free-of-charge provincial health information and advice phone line available in British Columbia. The 8-1-1 phone line is operated by HealthLink BC, which is part of the Ministry of Health. By calling 8-1-1, you can speak to a health service navigator, who can help you find health information and services; or connect you directly with a registered nurse, a registered dietitian, a qualified exercise professional, or a pharmacist. Any one of these healthcare professionals will help you get the information you need to manage your health concerns, or those of your family.
Health Link BC https://www.healthlinkbc.ca/more/contact-us/8-1-1
筆者も、子供が赤ちゃんの頃に高熱になり、ホットラインに連絡してナースからの指示をあおぎました。自分でも救急車を呼ぶまではないと思っていましたが、この時のナースの存在とアドバイスは大変心強かったです。
【9-1-1】の救急の呼び方
- 家の電話、携帯電話を手に取ります。
- キーパッドで、" 9-1-1 "をダイヤルします。エリアコードや追加の数字は不要です。
- 通話が接続するまで待ちます。救急オペレーターが受話器口に出ます。
- オペレーターが、「Ambulance(救急)? Firefighters(火事)? or Police(警察)?」と聞いてきます。
- オペレーターに必要な傷病者の状態をはっきり、落ち着いて伝えましょう。電話は切らないでください。
- 通報者の氏名、電話番号、住所を伝えます。
- サイレンの音が聞こえたら、できるだけ救急隊員を誘導してください。
- 救急隊員が到着したら、自分が行った応急手当、容態の変化、傷病者の病歴を報告することになります。
※カナダでは、消防隊員が救急車がくるまで簡単な救命行為をする場合もあります。事件性がある場合は、警察も伴なってくる場合もあります。救急隊員が到着すると、彼らは引継ぎをして帰っていきます。
緊急時は、尚更、母国語じゃない英語で助けを呼ぶのは大変です。
その時は、" Japanese speaker, please! "とオペレーターに伝えましょう。医療通訳士が、あなたをサポートしてくれます。
筆者も利用したことがあります。スピーカーフォンで対応してくれるので、英語と日本語両方聞けるので、報漏れを防ぎやすく安心でした。だいじょうぶ、落ち着いて!
救急隊員が、必要とする主な情報
個人情報
- 名前
- 生年月日
- ケアカードナンバー(Personal Health Number)
- 本人との関係性
容態の説明と変化
本人やあなたが身体の異変に気付いてから、救急隊員が到着するまでの容態を詳しく説明してください。意識、呼吸、吐き気、痛み・・・・いろいろ質問されるはずです。本人が話ができない状態だったら、あなたが主となって伝えることになります。
病歴、アレルギーの有無、服用している薬
動揺していると即座に応えにくいと思いますが、できる限り情報を伝えるようにしてください。普段から、" Emergency Health Information Sheet " を家族用に作って、アップデートをしておくことをおすすまします。Family Physician (主治医) や Specialist、Pharmacy の名前もすぐに伝えられるように、まとめておきましょう!
救急隊員は、だいたい3人で来ます。リーダー的存在の人、ファーストエイドをする人、ディバイスにあらゆる情報を打ち込む人と役割分担で動いてくれます。情報を打ち込む人に、上記のような、まとめたフォームを渡すのをおすすめします。時短になりますし、みなさんが何より動揺で即座に情報を伝えられないことも多いと思いますので・・・・。
救急車を待つ間に済ませておくこと
救急要請が済んで、あなた以外にも複数のヘルプを頼める人が近くにいたら、救急隊員の搬送時(担架が通るように)の部屋の動線をクリアにし、搬送時に携帯するものの準備を済ませておくとよいでしょう。この場合も、オペレーターの指示があるまで、勝手に電話は切らないようにしてください。
※ちなみに、救急要請後の到着時間は、緊急度と、その日の要請の混みぐあいによって様々です。30分以内の時もあれば、パンデミック時はスタッフ不足で、何時間も待たされたこともありました。
救急搬送時に持たせるもの
- 靴
- 入歯
- 眼鏡
- ヒアリングエイド
- 携帯電話(本人が意識があって、容態が大丈夫なら)
本人が必要な上記以外のアイテムは、あなたが後で病院に届ければ大丈夫です。基本、本人には何も持たせなくても、個人情報もインプットされた状態で搬送されるので、薬とかも病院で対応してくれます。カナダは水色のホスピタルガウンが提供され、このガウンを着て入院中は過ごします。
病院から戻ってくる時に、よく紛失物が多いので、何を本人に持たせたかは、きちんと覚えておくとよいでしょう。以前、入居者の眼鏡やヒアリングを失くされたこともありました。病院では下記のようなビニル袋に、パーソナルアイテムは入れて家族に返却してれます。
基本救急車には、本人しか乗れません。後を追いかけて病院に行くようになります。救急も混み合うので、病院に電話して、本人のおかれている現状況を確認してから出向いてもいいかもしれません。病院によっては、待機中にナースから電話があり、救急隊員に伝えたような内容を再度確認されることもあります。
救急要請時、知っておくと役立つ英語
救急隊員問診時
- Symptoms 症状
- Allergy アレルギー
- Medication 薬
- Last meal 最終食事
- First aid 応急処置
- CPR 心肺蘇生法
- Medical history 病歴
- Shot 注射
- Diabetes 糖尿病
- Stroke 脳卒中
- Heart attack 心臓発作
- Hyper tension 高血圧
- Seizure てんかん
- Asthma 喘息
- Flu / Influenza インフルエンザ
症状例
- Chest Pain 胸痛
- Difficulty in breathing 呼吸苦
- Feel dizzy めまい
- Headache 頭痛
- Nausea 吐き気
- Half conscious 意識混濁
- Injured 怪我をした
- Stomachache 腹痛
- Paralyzed 麻痺
自力で救急治療室(ER) に行ける場合
総合病院のERは、夜間・週末にかけて大変混み合います。ERは重症患者を優先的に治療されるので、長時間待たされることもあります。Emergency Department Wait Times と言うサイトもあるので、当日のER状況の参考にしてみてください。
容態が悪化する前に、Family Physician (主治医) や Walk-in Clinic なども、上手に利用することをすすめます。最寄りのWalk-in Clinic を探す時に便利なサイト、Medimap も貼っておきますね。
筆者の周りでもERに行って、5~6時間以上待たされた人は何人もいます。「そんなんじゃ、救急じゃないじゃん!?」って思う人も多いですよね。
痛みのスケール(1-10の数字で示す)も自己申告時、我々日本人は謙虚な気がします。我慢強い国民性?嘘をついてくださいとは言いませんが、よっぽどしんどい時は、ナースのトリアージの際(血圧、体温、心拍、容態確認)に、しっかり伝えましょう!
救急車を呼ぶ費用
カナダでは州により値段が異なりますが、救急車は基本有料です。BC州では、MSP(BC州の保険)に加入している人は50ドル、病院まで搬送された場合は80ドルになります(2023年11月現在)。有料にして気軽に呼べないのは、救急車を足代わりに軽症でも呼ぶ人がいるからだそうです。MSPに加入していない人は、もちろん高くなります。旅行者の人は、必ず海外旅行保険への加入をおすすめします。
請求書は忘れた頃にやってくることもあります。身内が利用した時も、半年後に請求書が届いて驚きました。
まとめ
日本語が使えない、医療システムがよく分からない海外で救急を呼ぶのは、緊張するし、パニックになるし、とても心細いと思います。すみやかに救急の助けを求め、あなたの大切な人が安全に搬送され、一刻も早い適切な処置を病院でされることを願っています。
- 緊急時に備えて、普段から家族全員の個人情報とメディカル情報をまとめておく
- とにかく落ち着いて、先ず深呼吸
- 9-1-1に電話したら、心配だったら 通訳もオペレーターに要請 " Japanese Speaker, Please "
- 救急隊員が到着したら、正しい情報を明確に伝える
- 担架で運ばれる(意識がある場合)心細い家族を優しく励ます、「きちんと病院で診てもらおうね!」
- 持参するものを忘れないようにまとめ、戸締りもしっかりして病院に出向きましょう!
- 自分心身も後から疲れがどっとでるので、しかっり自分も労わりましょう
落ち着いて、落ち着いて、深呼吸、深呼吸!