はじめまして、カナダの高齢者ケアホームで介護士(Resident Assistant)として働いているTofu【@eigodekaigo】です。X(旧Twitter)とInstagramでは、日々の気づきやカナダの暮らしとヘルスケアに役立つ情報を毎日発信しています。もしよろしければ、ぜひフォローして、保存していただけると嬉しいです!(プロフィールリンク参照)
カナダで介護士を目指している皆さんへ――。「介護の仕事は大変そう」「本当に自分にできるのかな?」と迷っていませんか?特に子育てと両立しながら新しい一歩を踏み出すのは、きっと勇気がいることですよね。
私も同じように不安を感じていましたが、介護士として働く中で「この仕事を選んで本当に良かった」と思える瞬間がたくさんありました。入居者やご家族の「ありがとう」の言葉に励まされ、社会に貢献できる喜びを実感できるのが介護の仕事です。大変なこともありますが、学びや成長、温かい出会いに恵まれる素晴らしい職業だと心から感じています。
この記事では、カナダで10年働いてきた経験をもとに、「介護士になって良かった!」と実感したエピソードをご紹介します。カナダで子育てと仕事の両立を考えている方や、介護の道に進むか迷っている方に、少しでも希望や勇気をお届けできれば嬉しいです。

筆者がカナダで介護士になるか迷っていた頃、身近に相談できる人がいなかったため、インターネットの情報だけが頼りでした。当時は海外で働くナースのブログはたくさんありましたが、介護士として働くための情報は、ほとんど見つかりませんでした。だからこそ、今同じように悩んでいる方々に、少しでも役立つ情報をお届けできればと思っています。このブログが、皆さんの背中をそっと押せる存在になれば嬉しいです。
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カナダで介護士をやっていて良かったと思うこと5選!
介護士になって10年以上の筆者ですが、これまで入居者や同僚たちと本当にかけがえのない時間を過ごしてきました。介護の仕事を始める前は、親が祖父母の介護をしている姿を横で見ていただけで、知識も経験もほとんどなく、介護はまったくの未知の世界でした。しかも、それを英語で行うなんて、10年前の自分にはとても想像できなかったことです。
そんな私でも、たくさんの苦労を乗り越えて10年以上続けてこられたのは、「介護士になって本当に良かった」と心から感じる瞬間が何度もあったからです。今回は、その中でも特に「やって良かった!」と強く思えた5つのエピソードをご紹介します。カナダで新しいことに挑戦してみたい方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
人のために働ける"喜び"を実感できる!介護士だからこそのやりがい
介護士の仕事は、肉体的にも精神的にも決して楽なものではありません。それでも、この大変さが一瞬で吹き飛ぶのが、入居者からの「ありがとう!」という笑顔と感謝の言葉です。
同じ入居者を毎日担当していても、その日の体調や気分はさまざま。毎日が新しい気づきと観察の連続です。少しでも体調や様子に異変があれば、すぐにナースへ報告し、最善のケアにつなげるのが介護士の大切な役割。担当する入居者は1人ではなく、時には15人以上になることもあり、思い通りにいかないこともたくさんあります。協力が得られなかったり、時にはケアを拒否されることも。でも、自分に任された大切な人たちのケアを責任もってやりきることが、介護士としての誇りであり、やりがいです。
そんな日々の中で、「ありがとう!」の一言や笑顔は、どんな疲れもストレスも癒してくれる最大のご褒美です。
また、ご家族から「いつもありがとう」と声をかけていただく瞬間も、とても温かい気持ちになります。私はご家族の気持ちに寄り添い、日々の小さなエピソードや変化も積極的にご報告するよう心がけています。忙しくてなかなか面会に来られないご家族にとっても、安心できる存在でありたいと思っています。
介護の現場は決して楽ではありませんが、人のために働くことで自分自身も成長でき、やがてその“喜び”が自分に返ってくる──それが、私が介護士になって一番実感していることです。介護士という仕事を通じて得られる「人のために役立てる幸せ」を、ぜひ多くの方に感じてほしいと願っています。

先日、私が休暇を取ることを知った入居者の方が、「あなたがいないと困るわ、寂しくなるわ」と声をかけてくださいました。その言葉に心が温かくなり、入居者から信頼されていることを実感した瞬間、改めてこの仕事のやりがいを感じました。

ヘルスケアの知識が身につき、身内の介護にも役立つ
カナダで生活する中で、不安や心配の多くは " 病気やケガをした時に、英語で対応できるかどうか " という点にあります。介護士として働くようになってからは、ドクターやナース、さまざまな医療従事者と接する機会が増え、カナダのヘルスケア事情や医学用語もかなり理解できるようになりました。職場には常勤のナースがいるため、健康面で気になることがあればすぐに相談でき、とても心強いです。
介護士になる前は、ドクターや薬剤師とのやり取りや英語でのコミュニケーションに強い緊張と苦手意識がありました。しかし今では、同僚ナースから医療現場で使える英語フレーズや対応方法を学ぶことで、落ち着いて対応できる自信がつきました。
介護の仕事には、入浴・食事・移動介助(車椅子やリフトの操作)など、さまざまな技術が必要です。こうしたスキルは職場だけでなく、家族の介護にも役立ちます。実際に家族が転倒や病気で入院した際も、仕事で培った知識や経験を存分に活かしてサポートできました。友人や知人からも介護や健康について相談されることが増え、自分の立場や役割にも自信が持てるようになり、介護士としての仕事が"生きがい"へとつながっています。

筆者のブログを読んでくださっている方の多くは20〜40代で、まだ親の介護は身近に感じていないかもしれません。しかし、特にカナダなど海外で暮らす場合、「英語で介護」の知識や情報は必ず将来役立つ時が来るはずです。どうか「英語で介護のブログを書いている人がいたな」と、皆さんの記憶の片隅に残していただければ嬉しいです。

チームワークとマルチタスクが得意になる
介護士の仕事は、チームワークが常に求められる現場です。同時に、複数のタスクを効率よくこなすマルチタスク力も必須です。筆者が働くカナダの高齢者施設でも、同僚とのコミュニケーションを大切にし、スムーズな連携で毎日を乗り切っています。
例えば、1シフトで15人以上の入居者を担当しているため、1人のケア中にナースコールが鳴ってもすぐに駆けつけることはできません。そんな時は、同僚に電話をして様子を見に行ってもらったり、入浴介助など手が離せない時間は事前に「今日は11時から入浴介助があるので、電話が取りにくいです」と情報を共有し協力をお願いしています。入居者が転倒した場合もチームワークが大切です。1人がナースを呼び、1人が入居者のそばに付き添い、もう1人が他の入居者を見守るなど、役割分担をしながら臨機応変に対応します。
また、朝の忙しい時間にはマルチタスク力が試されます。15人もの入居者を担当していると、なかなか起きてくれない方もいます。その場合は、一人の部屋にこだわらず、他の部屋の入居者のケアや身支度のサポート、薬の準備やランドリーなどを並行して行います。効率よく動くことで、時間を有効活用できるのです。
このような介護士の仕事で身につくチームワーク力やマルチタスク力は、どんな職場でも高く評価されるスキルです。転職やキャリアチェンジを考えている方にも、大きな強みとなるでしょう。


視野が広がり、柔軟な考えと対応ができるようになる
介護士の仕事は、入居者一人ひとりの気持ちを深く汲み取り、その方に合ったケアを提供することが求められます。入居者を理解するには、性格や病歴、健康状態だけでなく、ご家族の状況や言語、文化、宗教など、さまざまな背景情報をできるだけ集め、ケアに活かすことが大切です。
実際に介護士として働く中で、いろいろな国の言語や文化、価値観に触れる機会がぐっと増えました。例えば、日本人は自己主張が控えめな傾向がありますが、国や文化によってははっきり意見を伝える方も多く、それぞれに合った接し方を考える力が身につきます。また、個々の性格や習慣、文化の違いによる言動にも日々触れることで、観察力や柔軟な対応力が自然と養われます。
多様な人や文化、習慣に出会うことで、自分自身の視野が大きく広がりました。以前こだわっていた考えもいい意味で和らぎ、生きやすくなったと感じています。介護士の仕事は、入居者と長時間じっくり関わることで、その人の意外な一面や日常の素顔に触れることができ、他者への理解力もより深まります。

例えば、中国人の入居者はお水ではなくお湯を飲む習慣があるなど、実際に接することで各国の慣習を知ることができます。また、年中行事の際にご家族が入居者を連れ出す様子を見ることで、さまざまな文化を身近に学ぶ機会も増えました。普通に生活していたら知ることのなかった貴重な経験です。
命の尊さ、日々の"健康"をありがたく思える
介護士として働く中で、日々入居者の方々の老いや病気と向き合うことで、今ある健康の大切さや命の尊さを改めて実感するようになりました。老いや病気は、寝ること・食べること・歩くこと・排泄すること・家族や友人に会うこと――人生のあらゆる場面に影響します。介護士は、そうした不安や苦しみ、寂しさを抱える入居者に寄り添いながらケアをしています。その分、健康で過ごせる毎日がどれだけ貴重か、一般の方よりも深く理解できる職業だと思います。
もちろん、介護現場はハードワークで自分自身の健康を犠牲にしてしまうこともありますが、その経験から普段の食生活や睡眠、運動など、自分や家族の健康管理にもより一層気を配るようになりました。また、観察力が養われることで、ちょっとした体調の変化にも早く気づけるようになり、事故や病気の予防知識も自然と身につきます。介護の知識や経験は、家族や友人の健康を守るうえでも大いに役立っています。
介護士は、ターミナルケア(終末期ケア)にも携わります。これまで100人以上の入居者との死別を経験し、人生の最期を迎える方々と向き合う中で、命の尊さや生きることの意味を深く考えるようになりました。普段は無口だった方が、最期には家族や友人への感謝、人生の思い出や本音を打ち明けてくださることもあり、そのひとつひとつの瞬間に心を動かされます。入居者が安心して旅立てるよう、最期まで寄り添い、支えたい――そんな思いを強く抱くようになりました。
死別の場面には、プロとして慣れても、心が慣れることはありません。その度に「命は限りがあり、今この瞬間がどれほど大切か」を再確認し、自分や大切な人との日々を大事にしようと強く思います。介護士だからこそ味わえるこの気持ちは、他の職種ではなかなか得られない特別なものです。

実母は緩和ケア病棟で最期を迎えました。闘病中、母が「死への覚悟」を最も打ち明けていたのは、私たち家族よりも当時の介護士さんだったと、後から知りました。母が亡くなった後、そのことを担当の介護士から聞き、そばでメンタル面を支えてくれていたことに心から感謝しました。介護士は、「人の人生」に深く寄り添える、本当に素晴らしい仕事だと実感しています。

カナダで介護士になって良かったこと、まとめ!
介護士になって良かったことは、本当にたくさんあります。もちろん、毎日がきれいごとばかりではありません。肉体的にも精神的にも大変なことや、時にはつらい経験もあります。ですが、世間一般に広まっている「介護士は大変でつらい仕事」というネガティブなイメージだけでは語り尽くせない、多くのやりがいや喜び、学びがこの仕事にはあります。
「人間、誰もが平等に老いていく」
たとえAIやテクノロジーが進化しても、介護の現場ではやはり“人と人とのつながり”が大切です。介護士という仕事を通じて、誰かの人生に寄り添い、支え合いながら生きることの大切さを実感しています。これからも、介護の仕事の魅力ややりがいを多くの方に伝えていきたいと思います。

もっと介護士の賃金や労働環境が改善され、多くの人が安心して長く働ける環境が整うことを願っています。世界的にも介護や医療の担い手は不足しており、これからますます高齢化が進む中で、介護の仕事に興味を持つ方が増えていくことを心から願っています。
