広告 カナダで介護

【介護士が徹底解説!】カナダの老人ホーム、日本との違いは?

2023-05-21

当ページのリンクには広告が含まれています

 はじめまして、カナダの高齢者ケアホームで介護士(Resident Assistant)として働いているTofu【@eigodekaigo】です。X(旧Twitter)とInstagramでは、日々の気づきやカナダの暮らしとヘルスケアに役立つ情報を毎日発信しています。もしよろしければ、ぜひフォローして、保存していただけると嬉しいです!(プロフィールリンク参照)

 カナダにも、日本と同じように高齢者の健康状態や生活ニーズに応じて選べるさまざまな老人ホームがあります。筆者が暮らすブリティッシュコロンビア州でも、自立型の住居から24時間体制の介護施設まで、幅広い選択肢が整っています。

 この記事では、これからカナダで介護士として働いてみたい方や、ご自身やご家族の高齢者向け施設を探している方に向けて、ブリティッシュコロンビア州における高齢者施設の種類や特徴をわかりやすく紹介します。

Tofu

高齢者が住まいを移る理由は人それぞれです。子どもが独立したことをきっかけに家をダウンサイズしたい、自分で身の回りのことをするのが難しくなってきた、一人暮らしに不安を感じるようになった――そんな思いから、新たな住まいを考える方も少なくありません。

高齢者向けの住居やケア施設

 カナダのブリティッシュコロンビア州には、高齢者向けのさまざまな住居やケア施設が整備されています。入居者一人ひとりの心身の状態に合わせたサポートが提供され、安心して快適に暮らせるよう配慮されています。

老人ホームの主なタイプ

  • Residential Care(レジデンシャルケア)
  • Assisted Living (アシストリビング)
  • Long-Term Care(ロングタームケア)
  • Memory Care (メモリーケア)

老人ホームへ引越しを考える前に!

 高齢者施設への引越しを検討する前に、まずは在宅でのサポートを活用してみるという選択肢もあります。年齢とともに身体機能が低下し、身の回りのことが難しくなってきたと感じたとき、多くの方がすぐに施設への入居を考えがちですが、ブリティッシュコロンビア州では「Personal Care Assistance(パーソナルケアサポート)」など、在宅で受けられる支援サービスも充実しています。

住み慣れた自宅でできるだけ長く安心して暮らすために、まずはこうした在宅支援の利用を検討してみることをおすすめします。

例えば・・・・

  • Private homemaking services : 料理、買い物、洗濯、送迎 e.g. Nurse Next Door
  • Private Persona Care Services : 入浴介助、トイレ介助、投薬、移動介助
  • Subsidized Home Making Services : 掃除、料理、買い物、洗濯 e.g. Better at Home
  • その他 : HandyDARTBetter Meals etc.

ホームのレベル

 在宅でのサポートだけでは日常生活を支えるのが難しくなってきた場合は、より手厚い支援が受けられる住まいへの移行を検討することになります。ブリティッシュコロンビア州では、必要な介護のレベルや健康状態に応じて、引越し先の選択肢が段階的に用意されています。

 一般的には、自立支援を中心とした高齢者向け住宅から始まり、徐々に介護サービスが充実した施設へと移行していく流れになります。無理のないペースで、本人や家族の希望を大切にしながら、その人に合った環境を選ぶことが大切です。

  • Subsidized Seniors' Apartment
  • Independent Living (IL)
  • Assisted Living (AL)
  • Long Term Care (LTC)

 Subsidized Seniors' Apartment(補助住宅)は、一定の収入基準を満たした高齢者の方が、比較的低額な家賃で安心して暮らせるよう設けられている住宅です。原則として55歳以上の方を対象としており、介護や身の回りのサポートは含まれていませんが、自立して生活できる方向けに家賃の補助が提供される仕組みとなっています。

 この住宅は非常に人気が高く、申し込みから実際の入居まで数年単位の長いウエイティングリストがあるのが現状です。そのため、将来的な選択肢として早めに情報収集を始めておくことが大切です。

 詳細は、ブリティッシュコロンビア州の住宅支援機関「BC Housing」の公式ホームページなどで確認することができます。申請条件や申込方法、必要書類なども掲載されているので、興味のある方は一度目を通しておくと安心です。

Independent Living - IL (独立生活)

 Independent Living(インディペンデント・リビング/IL)は、身の回りのことを自分で行える高齢者を対象とした住宅で、自立した生活を送りながら、必要に応じて便利なサービスを受けられる住まいの形です。各入居者には個室やスイートルームが提供され、敷地内には食堂、清掃サービス、交通手段、レクリエーションスペースなどの共有設備やサービスが整っています。

 このタイプの住宅は、介護がまだ必要ではないけれど、一人暮らしに不安が出てきた方や、より安心で快適な生活環境を求める高齢者に人気があります。入居にあたっては、公的なアセスメントは必要なく、ご本人と施設との直接相談が基本です。そのため、興味がある施設があれば、自分で連絡を取り、見学の予約をして雰囲気やサービス内容を確認してみることをおすすめします。

Tofu

快適な環境で安心して暮らせる選択肢として、将来に備えて情報収集を始めておくと安心ですね!

Assisted Living - AL (アシストリビング)

 Assisted Living(アシステッド・リビング/AL)は、55歳以上の高齢者が自立を保ちながらも、日常生活の中で必要なサポートを受けられる住宅タイプです。健康状態や年齢により、一人暮らしに不安が出てきた方、在宅生活では不便を感じるようになった方に向いています。

 入居者には個室またはスイートが提供され、基本的な2食付きの食事サービスに加え、服薬の管理、日常生活のサポート(着替えや洗面など)、リネンやタオルの洗濯、簡単な室内清掃、レクリエーションなど、生活を支えるさまざまなサービスを受けることができます。

 施設によっては、24時間体制で看護師や介護スタッフが常駐しており、安心して日々を過ごせる環境が整っています。入居には地域のヘルス・オーソリティによるアセスメントが必要な場合もありますので、関心がある方はまず地域の健康センターや施設に相談し、見学や説明を受けることをおすすめします。

どんな人がAssisted Living には入居可能ですか?

 Assisted Livingに入居できるのは、身の回りの世話や日常生活のサポートを必要としながらも、自分自身で意思決定ができる高齢者です。反対に、24時間体制での医療的ケアが必要な方や、重度の認知症・精神的混乱がある方、他者に危害を加える可能性がある方などは、このタイプの施設には入居できません。

 介護サービスの提供時間は、1人あたり1日1.5時間を目安として割り当てられており、これを超えるサポートが必要と判断された場合は、より高いケアレベルの施設、たとえばLong-Term Careへの移行が検討されます。

分かりやすいところで、緊急時にナースコールで、自分で助けを呼べる人でなくてはなりません。

Assisted Living の入居手続きはどうすればいいですか?

 Assisted Living(アシステッド・リビング)への入居を希望する場合、まずはブリティッシュコロンビア州内の地域を管轄する保健当局(Health Authority)の「在宅および地域ケア事務所(Home and Community Care)」に相談することが必要です。また、かかりつけの医師や看護師など、医療専門職を通じて紹介を受けることも可能です。

 ただし、この相談を始める前に、すでに在宅での支援サービス(Personal Care Assistanceなど)を利用していることが前提となります。生活支援の必要性が明確になったうえで、施設入居が適切かどうかのアセスメント(評価)が行われます。

 入居が可能と判断された場合、本人の健康状態、必要なケアの内容、緊急性、現在受けている支援の状況などをもとに、入居の優先順位が決定されます。施設の場所や希望条件(地域、部屋のタイプなど)によっては、待機期間(ウエイティングリスト)が長くなることもあります。

 その間、希望者は引き続き自宅で在宅サポートを受けながら、入居の順番を待つことになります。なお、公的施設のほかに、プライベート運営のAssisted Livingもあり、条件や費用が異なるため、複数の選択肢を比較検討することが大切です。

すでに在宅でのサポートを利用している方は、担当のケアマネージャー(Case Manager)や地域保健看護師(Community Health Nurse)に相談してみるとよいでしょう。今後の住まいやケアの選択肢について、一緒に考えてくれる頼れる存在です。

どの Assisted Living が最適であるかをどのように判断すればよいですか?

先ずは、見学してみることをお勧めします。 ツアーは事前にAssisted Living に問い合わせて、予約する必要があります。

主な考慮すべきポイント

  • 施設のロケーション
  • 自分が必要とするサポートは何か?
  • 含まれている食事内容
  • 施設で話される言語(カナダは、共用語の英語や仏語以外にも、他言語に力を入れている施設もあります)
  • 施設では、どのようなアクティビティを提供しているのか?
  • スタッフの雰囲気はどうか?

 多くの施設では、独自のホームページが用意されており、施設の理念や提供されているサービスの概要を事前に確認することができます。また、施設によっては案内用のパンフレットや入居パッケージが用意されている場合もあります。

 提供されるサービスだけでなく、利用できないサービスについても事前にしっかり確認し、不明点は入居前に必ず明らかにしておくことが大切です。安心して生活を始めるためにも、情報収集と十分な確認をおすすめします。

 ブリティッシュコロンビア州内、お住まいの地域のAssisted Living について詳しくは、保健当局の Web サイトのページをご覧ください。

※ブリティッシュコロンビア州内、お住まいの地域のAssisted Living について詳しくは、保健当局の Web サイトのページをご覧ください。(2025年5月現在)

Fraser Health
Interior Health
Island Health
Northern Health
Vancouver Coastal Health

Long-Term Care - LTC(ロングタームケア)

 Long-Term Care(ロングタームケア/LTC)は、日常生活において常に介護が必要な高齢者や、認知症の症状が進行した方を対象に、24時間体制の専門的なケアを提供する施設です。Assisted Livingよりもさらに高いレベルの介護と医療的サポートが求められる方のための居住型ケア施設と考えると分かりやすいでしょう。

 LTC施設では、看護師や介護スタッフが常駐し、食事、入浴、排泄、服薬管理、移動のサポートなど、生活全般にわたる支援を行います。移動が困難な方のために、メカニックリフトなどの介助用機器も備えられており、安全で負担の少ないケアが行われます。

 また、重度の認知症の方には「スペシャルユニット」と呼ばれる専用の居住エリアが設けられており、出入り口がキーパッドなどでロックされているなど、安全性が高く設計されています。これにより、症状に応じた安心・安全な環境での生活が可能となっています。

 身体的・認知的なサポートが日常的に必要になったとき、長期的な視点でケアを受けられる選択肢として、Long-Term Careは重要な役割を果たしています。

どんな人が Long-Term Care の入居対象ですか?

Long-Term Care(ロングタームケア)は、常に介護が必要な高齢者や、中等度から重度の認知症を抱える方、継続的な行動上の問題がある方などが対象です。身体的・精神的に自立が難しく、在宅やAssisted Livingでは対応が困難な場合に、24時間体制の専門的なケアが提供されます。

Long-Term Care の入居手続きはどうすればいいですか?

 Long-Term Care(ロングタームケア)への入居を希望する場合は、Assisted Livingのときと同様に、ブリティッシュコロンビア州内のお住まいの地域を管轄する保健当局(Health Authority)または地域の介護事務所に連絡するか、医療専門家に相談して手続きを進めます。なお、民間(プライベート)の施設を希望する場合は、各施設に直接問い合わせて手続きを行います。

 入居が適切と判断された場合、希望する施設を最大3か所まで選ぶことができます。自宅で安全に待機できると判断された場合は、入居までの間、在宅サポートが提供されます。もし自宅での待機が難しい場合は、希望する施設に空きが出るまでの間、暫定的なケアホーム(Interim Bed)に一時的に入居することになります。

 入居の優先順位は、本人の健康状態や必要なケアの内容、現在受けている支援、緊急性などをもとに総合的に判断されます。どのLong-Term Care施設が自分に合っているかを見極めるためには、医療専門家に相談するほか、施設のサービス内容や環境について情報収集を行い、可能であれば実際に見学して雰囲気を確認することをおすすめします。

Tofu

【事例】

 Assisted Livingで生活されていたある方は、加齢に伴い身体機能が低下し、より多くのサポートが必要となったため、Long-Term Careへの引越しを余儀なくされました。当初はその変化に大きな不安と落ち込みを感じていましたが、実際に移ってみると、以前よりも手厚いケアを受けられるようになり、日々のアクティビティも充実していて、「引越して本当に良かった」と笑顔で話してくださるようになりました。

 Long-Term Careに対してネガティブなイメージを持たれる方も少なくありませんが、必ずしもそうとは限りません。大切なのは、事前に正しい情報を集め、ご本人に合った環境を選ぶことです。誰もが安心して、快適で幸せな時間を過ごせるようなケアを受けられることを願っています。

※ブリティッシュコロンビア州内、お住まいの地域のLong-Term Caring について詳しくは、保健当局の Web サイトのページをご覧ください。(2025年現在)

Fraser Health
Interior Health
Island Health
Northern Health
Vancouver Coastal Health

まとめ

 カナダの老人ホームにはさまざまな種類があり、それぞれの施設に特徴があります。また、カナダのヘルスケア制度や高齢者支援の内容は、地域や制度の見直しによって日々変化しています。そのため、施設を選ぶ際は、最新の情報を常に確認することがとても大切です。

 特に、高齢者は体調の変化が起こりやすく、入居を待つ間にもコンディションが急変する可能性があります。気になることがある場合は、ためらわずに医療専門家や地域の保健当局に早めに相談し、適切な判断と対応を進めてください。

Tofu

ご本人とご家族が安心して、より良い生活の場を選択できるよう、信頼できる情報と支援をもとに判断されることを心より願っています!

※ブリティッシュコロンビア州のホームページ(参考サイト)

B.C's publicly-funded health care

PVアクセスランキング にほんブログ村

-カナダで介護