こんにちは、カナダの高齢者ケアホームで介護士(Resident Assistant)として働いているTofu【@eigodekaigo】です。
カナダの医療システムは、日本と異なります。日本では病気になったり怪我をすると、自分自身で判断して内科、小児科、婦人科、耳鼻科、皮膚科などへ行きますよね。しかしカナダでは、健康的に何か問題があったら、先ずはファミリードクター(General Practitioner)、総合診療医のところで診てもらってから、専門医を紹介されるシステムになっています。ファミリードクターがいない場合は、ウォークインクリニックに先ず足を運ぶか、救急外来(ER)になります。
現在では、そのファミリードクターを見つけるのに、医師不足により、多くの人々が大変苦労しています。カナダのBC 州 Adrian Dix 保健相によると、2003年にファミリードクターがいない州の人口は約30万人でしたが、現在では100万人のBC州民がファミリードクターのいない状況にあるらしいです。恐ろしい社会問題ですよね・・・・
BC州政府は、カナダ国外で訓練を受けたファミリードクターを増やす計画を2022年に発表しています。早急にこのプログラム ( Practice Ready Assessment Program ) が実施され、医療の課題が改善されて欲しいと、皆が願っています。
この記事では、BC州でのファミリードクターの探し方をお話ししながら、ウォークインクリニックのことなど、カナダの全体的な医療システムを理解するのに役立てていただければ幸いです。最後まで、是非お付き合いください。
筆者もカナダに移民して20年以上ですが、大学に戻るドクター、自分達の引越しの都合などで、今のファミリードクターは3人目です。毎回新しいドクターを探すのには、大変苦労しました。
【カナダの医療】ファミリードクターとは?
ファミリードクターとは、簡単に日本語で説明するならば「かかりつけ医」、主治医みたいな存在です。ファミリードクターは、General Practitioner(GP)と呼ばれています。体調を崩したり、怪我をした時には、病院ではなく、ファミリードクターに診察してもらいます。そして必要に応じて、ファミリードクターが紹介状 ( Referral )を書いてくれて、総合病院や専門医に診てもらうことになります。
血液検査 ( Blood Work ) やレントゲンなどファミリードクターがいるクリニックでは設備がないことが多いので、そのような検査申し込みも ( Requisition Form ) 、ファミリードクターを通して用意してもらいます。
これらは全て州の医療保険制度に加入していれば(BC州の公的医療保険は、Medical Services Plan / MSP)、自己負担なく基本無料で受けることができます。
ファミリードクターも、抱えている患者数によりますが、すぐに診察予約が取れるわけではありません。緊急を要する場合は、ウォークインクリニックや救急外来(ER)になります。しかし、こちらも待ち時間は長く、カナダ全体で大きな問題を抱えています。
【カナダの医療】ファミリードクターのメリットとデメリット
ファミリードクターのメリット
- 患者の情報を一括して管理してくれているので、病歴を見ながら予防と治療がしやすい
- 専門医など医者同士の情報シェアがスムーズ
- ずっと同じドクターなので信頼関係もでき、安心感がある
子どもが幼いころから診てくれているドクターなので、一緒に成長を喜んでくれるのが嬉しいです。検査結果は専門医だけじゃなく、必ずファミリードクターの手元にも届くシステムになっています。
ファミリードクターのデメリット
- 体調を崩しても予約前提なので、すぐに診察してもらえないことも多い
- 紹介状を書いてもらってから、専門医に診てもらうまで数カ月~長いと1年以上待たされることもある
- 血液検査などの検査も、全てファミリードクターを通すから時間を要する
カナダのファミリードクターの見つけ方(BC州偏)
新患者を受け入れているファミリードクターを検索する
下記のサイトなどで調べてみる。電話 8-1-1 or Health Link BC などでも、24時間相談を受け付けています。緊急の場合は、 9-1-1 か最寄りの救急外来 ( ER )に行ってください。救急時の関連記事は、こちらへ。
COLLEGE OF PHYSICIANS AND SURGEONS OF BRITISH COLUMBIA
Pathways Medical Care Directory
※各サイトをよく熟読して、新規患者を受け入れているか、料金が発生するかなど、必ずクリニックへ直接詳細を問い合わせてみることをおすすめします。掲載した参考サイトは、2023年7月現在のものですので、最新の情報をご自身でも、ご確認ください。
知人や友人に聞いてみる
カナダに住んでいる知人や友人に、おすすめファミリードクターや医療機関を尋ねてみるのも良いと思います。口コミは、より信頼性の高い情報を得られる可能性があります。
3人目の我が家のファミリードクターは、実際友人家族のファミリードクターで、ちょうど新患を受け付けている時だったので、友人からの紹介で受け入れてもらえることができました。現在ドクターは、患者を増やして治療の質を落としたくないとかで、もう何年も新患は受付けていません。そう考えると、友人にも感謝だし、ラッキーでした。
ウォークインクリニックや専門医に患者として受け入れてもらえるか聞く
現在関わっているウォークインクリニックや専門医に患者として受け入れてもらえるか聞いてみることも可能です。ただこの場合、かなり難しいことが予想されます。
【カナダの医療】ウォークインクリニックとは?
常に混雑していて、予約を取ってくれるところもあるのですが、待ち時間が長かったり、多くの患者に追われて、きちんと診察されずに薬だけ処方されてしまうこともあります。日頃から、最寄りのクリニックの口コミや、担当するドクターのレビューやスケジュールなどを下調べしておくと安心かもしれません。
参照サイト(BC州)
【カナダの医療】クリニック診察時
受診時には、通常カナダの保険証(ケアカード)Personal Health Number の提出が求められます。忘れずに持参しましょう!
だいたいのクリニックの診察室は個室で、プライバシーが守られています。日本のように看護師が随時いなく、受付とドクターだけが多いです。診察室に通されたら、検査によってはホスピタルガウンに着替えるように言われることもあります。
英語で緊張すると思いますので、予め自分の症状や尋ねたいことは英語で箇条書きにしておけば、言い忘れを避けられるでしょう。診察中にドクターは、薬や血液検査などのオーダーも済ませてくれます。聞き漏れがないように、しっかり確認しておきましょう!
英語の病名や薬、聞き慣れないものです。筆者は、聞き取れないことは、必ずドクターにメモしてもらうようにしています。次回のフォローアップの予約はいつ入れたらいいかなど、しっかり確認しておきましょう!
医療通訳
英語で話すのが不安な人は、医療通訳アシスタントのサービスもあります
Trans Med 日本語で安心の医療通訳 https://transmedcanada.com/service/interpreter-service/
【カナダの医療】テレフォンアポイントメント
コロナ禍では、電話やオンライン診察も増えました。対面よりも、もっと症状を伝えたりするのは大変です。しっかり落ち着いて、診察にのぞむようにしてください。
テレフォンアポイントメントに限らずですが、予約の時間に先ず診察が始まることは無いと思っておいた方がよいでしょう。筆者は、これまで数時間待たされ、受付に予約の確認の電話もしたこともあったり、半日待たされドタキャンされたこともありました。
本来、病気や怪我で辛いところに、こういう忍耐も求められるので、本当にストレスになることもあります。そう言った時に、受付の人(Medical Office Assistant )が有能だと、次の手段を考えてくれたり頼りになります。ドクター選びは、ドクターだけじゃなく、是非受付の人の対応も考慮ポイントに入れてくださいね。
【カナダの医療】薬について
処方薬(医師の処方箋が必要な薬)
処方薬は、高い効果を持つ分、深刻な副作用の可能性もあります。そのため医師の指示のもとに、医師が処方箋 ( prescription )を書き、薬剤師が確認し、包装して販売しています。薬剤師が薬の使用方法や副作用なども説明してくれ、相談も可能です。
処方薬を受け取る薬局は、まとめて同じところが良いでしょう。薬剤師も、服用している薬を把握しやすいですし、必要であればドクターにも薬剤師から確認してもらいやすいからです。
筆者も最寄りの薬局1つにし、ファミリードクターに伝えてあります。ドクターオフィスからFAXで処方箋を直接薬局に送ってもらい、薬の準備ができたら取りに行きます。
市販薬(処方箋を必要としない薬)OTC - Over the Counter Medications
処方箋を必要としない、薬局で売られている薬が市販薬に当たります。日本のように自分の症状を説明したり、どの薬がよいのか分からなかったら、薬剤師に相談出来ます。カナダの市販薬は日本のより強い場合もあるので、必ずラベルを読んで用法と用量を守り、不安だったら薬剤師に相談してください。
【カナダの医療】役立つ英単語
- Family Doctor
- General Practitioner(GP)総合診療医
- Pharmacy 薬局
- Referral 紹介状
- Prescription 処方箋
- Requisition 検査のための申込書
- Blood Work 血液検査
- Ultrasound 超音波
- CT scan CTスキャン
- X - ray レントゲン
- Pap test(Pap smear)子宮頸がん検診
- Flu Shot インフルエンザワクチン
- Immunization or Vaccination 予防接種
【カナダの医療】まとめ
カナダの医療は、日本と異なる点が多く戸惑うことも多いと思います。医療機関や医師(ファミリードクター)の選択は、大変重要なことですので、信頼できる情報源やヘルスケアに詳しい人のアドバイスを参考にすることを強くおすすめします。
ヘルスケア業界も、新型コロナウイルス感染症拡大から数年、大きな変革をとげています。まだまだ改善が求められる課題もたくさんです。
皆さん一人一人がしっかり健康管理できる環境で、元気に不安なくカナダで暮らしていけるのを願っています!
新しい情報が入り次第、記事も更新していく予定ですが、みなさんからの役立つ情報や訂正すべき内容は、気軽に教えていただければ幸いです。