はじめまして、カナダの高齢者ケアホームで介護士(Resident Assistant)として働いているTofu【@eigodekaigo】です。X(旧Twitter)とInstagram、noteでは、日々の気づきやカナダの暮らしとヘルスケアに役立つ情報を発信しています。もしよろしければ、ぜひフォローして、保存していただけると嬉しいです!(プロフィールリンク参照)
カナダで暮らしながら家族介護をしていると、外出先の「トイレ問題」に頭を抱える方は少なくありません。
日本のように駅やコンビニにトイレがあるわけではなく、カフェや公共施設を探し回ることもあります。特に高齢の家族と一緒だと、「間に合わないかも」と焦ってしまうことも!
でも大丈夫です。10年以上介護士として働くTofuが、カナダのトイレ事情から、事前準備で慌てない方法までわかりやすく解説します。


記事を読み終えた時、外出への不安が少し軽くなり、安心してお出かけできる未来が見えてきますよ!
家族介護とトイレ事情の基本
カナダの公共トイレは日本とどう違う?
日本で暮らしていた方にとって、カナダの公共トイレは少し違和感を覚えることが多いと思います。
そのひとつが、個室ドアの隙間です。下の部分は大きく空いていて、外から足が見えるようになっています。また、ドアの開閉部にも隙間があり、前を通る人の姿がうっすら見えることもあります。
これはプライバシー軽視ではなく、安全性や清掃効率を重視した設計です。万一中で体調を崩した場合に発見しやすく、清掃スタッフが床をモップ掛けしやすいようになっているのです。
駅やコンビニにトイレがないカナダの現実
日本では、駅やコンビニに必ずと言っていいほどトイレがありますよね。しかしカナダでは事情がまったく違います。
多くの駅やコンビニにはトイレが設置されていないか、あっても限られた場所のみです。そのため、電車の待ち時間にトイレへということは難しく、急に行きたくなった場合は街中で探す必要があります。

家族介護で高齢者と一緒に出かける際には、ここが大きな不安要素になりますね!
カフェ・ホテル・図書館・ガソリンスタンドのトイレ利用方法
街で最も利用しやすいのは、やはりカフェのトイレです。スターバックスやティムホートンズなど、大手チェーンなら比較的入りやすいですが、「お客さんのみ」というルールがあるため、飲み物をひとつ購入して使うのが基本です。
また、多くのカフェやファストフード店では、トイレにロックがかかっていて、店員から暗証番号を教えてもらうか、鍵を借りる必要があります。初めてだと驚きますが、こちらではごく普通の光景です。
ホテルのロビーや公共図書館のトイレもおすすめです。ホテルは清掃が行き届いていることが多く、夜間でも使える場合があります。図書館は公共施設なので無料で入れて、気軽に利用できるのがメリットです。
郊外では、ガソリンスタンド内の売店にあるトイレが頼りになります。スタッフに声をかけて鍵を借りるスタイルが一般的ですが、清掃が行き届いていないことも多く、利用する際には注意が必要です。
公園の公衆トイレの衛生面と安全対策
公園にある公衆トイレは無料で利用できることが多いですが、トイレットペーパーがない場合も珍しくありません。また、地域によっては路上生活者の方も利用しているため、衛生面や安全面で不安を感じることもあります。
高齢のご家族を連れて利用する場合は、衛生用品(除菌ワイプやティッシュ)を必ず持参することをおすすめします。治安が良くないエリアでは、公衆トイレの利用自体を避けた方が安心です。
LGBTQ+や多目的トイレの広がりと介護現場の視点
カナダは多様性に寛容な国として知られています。大規模なプライドパレードが行われ、同性婚も早くから合法化されている国です。そのため、ジェンダーニュートラル・トイレ(男女共同トイレ)が一部の公共施設や学校に設置されています。
また、障害者用トイレや家族で一緒に入れるファミリートイレも、普及しています。介護士として働いていても、こうした多目的トイレの存在は非常に助かります。高齢者だけでなく、家族介護をする側にとっても安心して利用できる空間が広がっていることを実感します。

家族介護者の外出準備
外出前に必ずしておきたいトイレの下調べ
日本とは違い、カナダでは出先でトイレに困ることが少なくありません。だからこそ、外出前にトイレの場所を確認しておくことが大切です。
バンクーバー市内には公衆トイレマップが公開されており、スマホで事前にチェックしておくと安心です。もちろんGoogle検索でも探せます。
私も介護士として入居者と外出するときは、必ず目的地周辺のトイレを把握しています。「近くに図書館があるから大丈夫」「カフェが多いエリアだから安心」と、ちょっとした準備が外出先での大きな安心につながるのです。
高齢者におすすめのプルアップ・インサートパッド活用術
外出中に一番不安なのは「トイレに間に合わなかったらどうしよう」ということ。高齢者ご本人だけでなく、一緒にいる家族も落ち着かなくなってしまいます。
そんな時に役立つのが、プルアップタイプ(パンツ型おむつ)やインサートパッドです。普段は普通の下着を使っていても、外出時だけプルアップにしておくともしものときも大丈夫という安心感があります。
さらに、インサートパッドを組み合わせれば、汚れたときはパッドだけ交換できるので、外出先での負担が少なく済みます。介護士として働くなかでも、この工夫は多くのご家族におすすめしてきました。
持ち歩き必須!除菌シート・ワイプ・ゴミ袋の使い方
外出介助で私がいつもバッグに入れているのは、除菌シート、ウェットワイプ、予備のパッド、ゴム手袋、そしてゴミ袋です。
- 除菌シート:公衆トイレの便座や手すりを拭いてから利用すると安心。
- ワイプ:肌を優しく拭けるタイプを用意しておくと、本人も快適です。
- ゴミ袋:使用済みのパッドやワイプを持ち帰るために必須。においが気になる場合は、防臭タイプを選ぶと安心です。
このような「小さな準備」があるだけで、外出中に慌てなくて済みます。
介護士目線で見た「慌てない工夫」と安心の声かけ
外出中にトイレに行きたい時は、どうしても焦ってしまいます。
介護士としての経験から言えるのは、「大丈夫ですよ」「ゆっくり行きましょう」と声をかけることが何よりも効果的だということです。
慌てて転倒してしまうと、せっかくの外出が台無しになってしまいます。時間に余裕を持って行動し、「次の場所に行く前に一度トイレに寄りましょうか」と、こちらから提案してあげることも大切です。

家族介護と日常生活の工夫
家族介護でよくある「トイレのトラブル」と対処法
家族介護の現場で最も多いトラブルのひとつがトイレの失敗です。特に外出先では、トイレの場所が見つからなかったり、間に合わなかったりすることがあります。これは本人にとっても大きなショックで、「もう外出はしたくない」と気持ちが落ち込む原因になることもあります。
そんな時に大切なのは、責めないこと。むしろ「大丈夫、誰にでもあることですよ」と自然に受け止めてあげると、本人の安心につながります。
介護士の現場でも、失敗を「事故」ではなく「ちょっとしたハプニング」として扱うだけで、雰囲気がぐっと和らぎます。
外出先で困らないための声かけ・サイン作り
高齢者の中には「トイレに行きたい」と自分から言い出しにくい方もいます。そんな時は、普段から合図やサインを決めておくと安心です。
たとえば「手を軽く握る」「ちょっと咳払いをする」といったサインを共有しておくことで、本人は恥ずかしさを感じずに意思表示ができます。介護士としても、本人のプライドを尊重しつつサポートできるため、この工夫はとても有効です。
自尊心を守るための配慮:高齢者に寄り添う工夫
トイレ介助で一番大切なのは、自尊心を守ることです。大人としての誇りを持つ高齢者にとって、排泄介助はとてもデリケートな問題です。
「今日はパッドをつけているから安心ですよ」「次の場所に行く前に、念のため寄っておきましょうか」と、あくまで自然な会話の流れで声をかけるようにすると、本人も「介護されている」感覚ではなく「一緒に工夫している」感覚になります。

10年以上介護士をしている中で感じるのは、小さな言葉の選び方ひとつで、相手の気持ちが大きく変わるということ。これは家族介護でも同じです!
家族介護に役立つリソース
バンクーバー市内で使える公衆トイレマップと便利アプリ
バンクーバー市では、市が管理する公衆トイレマップが公開されています。場所や利用可能時間がオンラインで確認できるので、外出前にチェックしておくと安心です。特にダウンタウンや大きな公園には設置が多く、観光客や地元の人にも利用されています。
さらに便利なのが、スマホアプリで使える「トイレ検索ツール」です。カナダ国内で利用できるアプリもあり、現在地から最寄りのトイレを簡単に探すことができます。留学生や家族介護をしている方にとって、こうした情報は“外出のハードルを下げるお守り”のような存在になります。
トイレ利用に関する公的サポートと相談先
介護をしていると、「外出時のトイレ問題」が大きなストレスになります。そんなとき頼りになるのが公的サポートや相談先です。
BC州では、HealthLink BC(811)に電話すると、医療や介護に関する一般的な相談ができます。排泄ケアに関する情報提供もしてもらえるので、不安なときに心強い窓口です。
また、隣組(Tonari Gumi)のような地域の非営利団体では、日本語で相談できる家族介護サポートもあります。言葉の壁に不安がある方にとって、安心して情報を得られる場所です。
まとめ|家族介護を安心にするために
カナダのトイレ事情は、日本と比べて「数が少ない」「個室に隙間がある」「利用にはひと工夫が必要」といった特徴があります。家族介護をしていると、外出先でのトイレ問題が大きな悩みになりがちです。
でも、事前にトイレの場所を調べておくことや、プルアップ・インサートパッドを活用すること、そして除菌シートやゴミ袋を持参するだけで、不安はぐっと軽くなります。介護士として働く私Tofuも、入居者と出かけるときには同じ準備をしています。
大切なのは「慌てない工夫」と「安心できる声かけ」です。距離のある外出も、少しの工夫で「楽しい時間」に変えられます。
