こんにちは、カナダの高齢者ケアホームで介護士(Resident Assistant)として働いているTofu【@eigodekaigo】です。
カナダではボランティア活動が盛んに行われ、高齢者や障がいを持つ人々などの介護ボランティア活動の機会もたくさんあります。施設に入居している高齢者は、外部との関りが少なくなりがちなので、ボランティアの人々が訪問して関りを持ってくれることは、大変良い刺激になり、QOLの向上にも結びつきます。2019年以降は、保健機関からの新型コロナ感染予防の方針でボランティアを受け入れられない時期が続きましたが、ようやくボランティア受け入れも再開して嬉しい限りです。
この記事では、これからカナダで介護士を目指す人や、転職したい人が、介護のボランティア活動を通して、カナダの介護の仕事や施設を知り、介護士としての就職に役立てるような情報をまとめてシェアさせて頂きます。
カナダのボランティアはスキルや語学力は不問ですが、ビザによって条件が変わる場合もありますので、参加してみたいボランティア活動のボランティアコーディネーター(問い合わせ窓口)に、必ず事前にビザのことは問い合わせをすることをおすすめします。
私は介護のプログラムの入学許可を待つまで、気になっていた高齢者施設でボランティアを1年以上していました。そこでのボランティア活動が、就学中も、就職活動時もおおいに役に立ちました!
どうやってボランティア活動を探せばいいの?
- カナダのボランティア情報サイトから探す。「Go Volunteer」などはボランティアの登録件数も多いです。ちなみに "Companion/Visitor"のタグで調べてみたら、数団体が検索にヒットして、そこからボランティア登録するようになっていました。
- 実際に興味のある施設のサイトに直接問い合わせてみるか、その施設のホームページで調べてみる。だいたいの高齢者施設は、ボランティア募集要項も掲載しているので、そこから登録し、もし暫くしても連絡が来なかったら、フォローアップの電話をするのがよいと思います。
- その他としては、SNSや新聞、掲示板などで募集している場合もあります。
私の場合は、直接施設に問い合わせて、ボランティア登録用紙を記入し申し込んで、ボランティアメンバーになりました。記入用紙には、週何時間活動が可能か、希望の曜日、希望の活動、自分の特技などを記入する欄がありました。
ボランティアの活動内容
登録をしてから、犯罪チェックやワクチン接種証明など必要書類を提出します。これが全て受理されてから、オリエンテーションへ進み、ボランティア活動がスタートできます。
カナダでは介護のコースを修了していない人は、安全面と衛生面などの観点から、入居者の身体に直接触れる行為は禁止されています。
主な活動は施設によって多少異なりますが、アクティビティ(アートテーブル、歌、ゲーム)、エクササイズ、誕生パーティー、クリスマスパーティーなどのイベントのお手伝いが多いかと思います。
筆者の当時のボランティア1日の活動例
- ボランティアコーディネーターから、その日の参加者予定リストとアートテーブルの内容を渡される
- アートテーブルの準備
- 入居者の部屋に呼びに行き、アクティビティルームへエスコート
- 入居者が安全に楽しくアクティビティに参加出来るようにアシスト
- アクティビティが終わったら入居者を部屋にエスコート
- 片付けと日報を書いて、コーディネーターに渡す
- 次回のアクティビティのアイディアをフィードバックして、お疲れさまでした!
私は、1:1のお部屋訪問をしてお話相手、アートテーブル(得意な折り紙など)、誕生会イベント、散歩の付き添い、カードゲーム、カラオケ、エクササイズなど、いろいろなお手伝いをしました。入居者はもちろん、スタッフにも感謝してもらえて、人の役に立てていることへの生きがいも感じ、とても楽しい時間を過せました。
ボランティア活動時の注意すべき5つのポイント!
- しっかり体調管理をする
施設の入居者は高齢者、病気に感染してしまったら重症化してしまうリスクも伴います。入念な体調管理をして、当日少しでも体調に異変がある場合は、大事をとって病欠の連絡をしてください。
- 笑顔であいさつ!
明るく笑顔であいさつをすることは、何より入居者を安心していただけます。筆者の施設にも社会経験がない若い学生がボランティアに来てくれますが、ニコニコ笑顔を絶やさずあいさつしてくれるだけで、施設の雰囲気はパッと明るくなり、とてもありがたいものです。
- 個人情報を施設の外に漏らさない
活動をする中でシェアされた個人情報などは、外部に漏らすことのないように、取扱いに十分注意しましょう。アクティビティなどで配られる参加者名簿なども、必ず建物内だけで利用し、くれぐれも持ち帰らないでください。
- 職務権限を守りましょう
ボランティア活動は、必ずスタッフからの指示に従ってください。事前の打ち合わせで不明な点は、しっかり確認しておきます。入居者の中には、スタッフとボランティアメンバーの認識ができずに、身体介護を要求する人もいるかも知れません。その場合は決して要求に応えずに、スタッフにすみやかに報告し、サポートをリクエストしてください。
- 入居者への理解
入居者の中には、認知症の方もいます。事前に理解を深め、行動をせかしたり、自尊心を傷つける言動は避けるようにしてください。ヒアリングエイドを使用している方の声掛けなども、最初は迷うと思います。分からないことは、どんどん遠慮なくスタッフに質問して、入居者と互いが快適な時間を過ごせるようにしてください。
ボランティア活動のメリットは?
- 介護士の業務や責任が深く知れる
- 入居者、入居者の家族、スタッフ、施設の雰囲気を直接知る機会
- 介護のプログラム履修中の理解の助けになる(課題提出も、入居者の協力を得られました)
- 英語力が伸びる
- 就職の際に、ボランティア活動は採用に有利(その施設で働けるチャンスもある)
1年以上ボランティアをしていた施設のボランティアコーディネーターから、当時のマネージャーに"介護士"としてのジョブポジションを推薦してもらい、幸運にも介護のコースが終わる前には内定をもらいました。介護の学校の35人以上いるクラスで、1番先に仕事が決まった学生になることができました。当時のボランティアコーディネーターがマネージャーに推薦してくれたレターは、下記の内容です。
将来を見越しながら一生懸命やっていれば、どこにチャンスが舞い降りるか分からないものです。ボランティアを通して、予め入居者や同僚のことを知れていたので、緊張し過ぎず勤務初日を迎えることも出来ました。皆が学校卒業を一緒に喜んでくれて、仲間として歓迎してくれたことが、とても嬉しかったです!
まとめ
介護の仕事を目指している人も、介護業界に進んでよいのか迷っている人も、ボランティア活動は人生に大変役立つ要素がたくさんあります。介護スタッフの人員不足が課題となっている昨今、たとえ忙しくて週単位の活動ができなくても、単発イベントのお手伝いだけでも、ボランティアメンバーの活動は大歓迎されます。
介護士の立場になった今、献身的に入居者をサポートしてくれているボランティアメンバーには、日頃からとても感謝しています。介護士だけでは忙しくて補えないこと、お喋りであったり、歌であったり・・・・彼らのお陰で、入居者のQOLに非常に繋がっていると思っています。
実践的な英語を学びながら、よりカナダの”介護”を知るきっかけに、是非カナダでボランティア活動をしてみてはいかがでしょうか?